Empressさんより『LEWDNESS ~Vita sexualis~』
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――今世紀半ば――
最初は小さな火種だった。
当時、世界では少子化が大きな問題となり、その要因を言及する事に、どの国も力を注いでいた。
そんな中、どこかの国の学者が発表した学説に
――「少子化の原因は、世に氾濫した猥褻なメディアや行為が元凶だ」
という事が記されていた。
発表当時は誰も見向きもしなかったその学説に、とある擁護団体が目をつけた事が火種となった。
「この学説こそが、国を救う真実だ!」
その話題は驚くべき速さで世界中に広がり、世論を、国を動かした。
「生殖目的以外の全ての性行為を禁ずる」という法案が、国会の満場一致で可決する事となった。
その法案名は「Sexual Misconduct(淫行)禁止法案」、俗に言う「SM禁止法」が制定されたのである。
この法律は直接的な性行為はもちろん、性的な絵や文章を読んだり書いたりする事すらも禁じる法律。
そのため、性的なものは一切合財この世から排除され、消えうせる事となる。
表面的には――。
――それから幾年月。
世の中は、性行為が善からぬ物とされた世界で、この物語は始まる……。
SM禁止法案の中心に居たのが「橘 忠誠(たちばな ただのぶ)」という人物。
この国の初代大統領でもあり、引退後はSM禁止法に違反した若者を隔離するための施設「誠憐学園」を国立で設立し、そこの理事長として余生を送っている。
そんなSM禁止法の存在が当たり前になった時代、その法律を犯した少女が一人、誠憐学園へ送られようとしている。
その少女の名前は「姫乃 百合亜(ひめの ゆりあ)」。この前までは至って普通の学園に通う女子校生だった。
姫乃 百合亜は、SM禁止法に抵触し、警察に逮捕され身元引受人として現れた女教師に「誠憐学園」への編入を条件として釈放して貰えるよう便宜を図って貰う事になる。
この「誠憐学園」は若年の犯罪者を隔離するだけでなく、表向きは個別にあった職種を訓練させ、然るべき仕事を斡旋するための学園となっている。
SM禁止法を違反した百合亜は、家族からも世間からも見放された人生のどん底に陥っていた為、安易に誠憐学園への編入手続きの書類にサインをしてしまう。
実はこの誠憐学園は、問題児が集まる施設のような存在で、その中に「令嬢」と呼ばれる「権力者に仕え、性の奉仕を担う存在」を育成するのが、この誠憐学園の本当の姿だった。
令嬢候補に選ばれた姫乃 百合亜、そんな百合亜に仕えたいと名乗り出る、まるでフランス人形のような端正な顔立ちをした謎の令嬢のメイド、有栖(ありす)。
そして学園の寮で出会う事になる、スポーツが得意でボーイッシュな「仁科 絵理(にしな えり)」と、お嬢様でクールビューティーな元誠憐学園学生会長の「九龍 葉月(くりゅう はづき)」と共に、毎日休むことなく、男たちの激しい性欲に打ちのめされ、その性的嗜好を矯正され、アブノーマル覚醒への門の前に跪かされる事となる。
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2012年06月22日発売です。