DANDELiONさんより『めぐる季節の約束と、つないだその手のぬくもりと』
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小さな頃のことは、ほとんど覚えていなかった。
いや、もう皆無と言って良いだろう。 遠山昭は綺麗さっぱり何も覚えていない。
だけどそれは生きていくうえで何か支障があるわけでもなく、さして深刻なことではなかった。
彼の周りには腐れ縁の友人がいて、楽しい先輩と後輩がいて、わりあい普通の、平凡だけど幸せな学園生活を謳歌していたのだから。
そんな彼がある日訪れた遊園地の跡地。
かつては人に賑わい、今は廃墟と化してしまったその場所。
一匹の猫に導かれるようにそこへやってきた彼は、有るはずのない光景、たくさんの人にあふれ、喧噪に包まれた遊園地の光景を幻視する。
そして……。
わすれていた “おもい”。 わすれていた “ねがい”。 わすれていた “記憶”。
遠い遠いあの日の “やくそく” を果たすため、止まっていた昭の時計は再び動き始める。
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2013年05月31日発売です。